池田美恵文庫


 故池田美恵先生(1919〔大正8〕年東京生 1997〔平成9〕年没)は古代ギリシア哲学の研究者でした。津田英学塾(現津田塾大学)、東京文理科大学(現筑波大学)に学ばれ、津田塾大学、筑波大学で教鞭をとられ、筑波大学を定年退官されてのち、法政大学でも兼任講師として教えられました。この文庫には、先生の蔵書のうち、洋書3,405冊と和書76冊が収められています。先生のご遺志により、法政大学に寄贈されました。

 文庫の内容は、古代ギリシア哲学を中心とした西洋古典学関連の書物(原典、注釈書、研究書)が主体ですが、そのほかに中世、近現代の主だった哲学者の著作やキリスト教関連の著作もふくまれています。古代ギリシア哲学関連の書物についていえば、20世紀に出版された基本的な書物はほぼすべてふくまれています。

 西洋哲学の大きな礎石のひとつとして古代ギリシア哲学、そしてそれをつつみ込む西洋古典学(古代ギリシア・ローマの古典、学芸の研究)があります。わが国において、古代ギリシア哲学や西洋古典学の本格的な研究が始まったのは第二次世界大戦直後、あるいはもうすこし正確には、大戦直前からといえるでしょう。池田美恵先生が研究者として活動をはじめられたのもこの時期にふくまれます。
 池田美恵文庫の蔵書数はとくに多いとはいえないかもしれません。しかしこれだけ質の高い文庫を本学がもちえたことは幸いです。みなさんも池田美恵文庫を活用してください。(文学部教授 奥田和夫)

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