古代や中世の人間と近代・現代の人間とを決定的に分かつもの、それは後者が科学を持つ、ということです。私達は、好むと好まざるとに関わらず、「科学的世界像」の中で生きていかざるをえない。私達のあり方にこれほど大きな影響を与えた科学とは、いったいどのような知的活動なのか。その本質は何であり、それはどのような可能性と限界を持つものなのか。こうした問題に答えようとするのが科学の哲学です。科学について問うとは、近代・現代に特有な知の核心を問うことであり、それは世界と人間への問いかけの不可欠の一部をなすものなのです。