皆さんは日常生活のいろいろな場面で「どうしたらよいだろうか」という問いに直面したことがあるはずです。この問いについて少し考えてみますと、私たち人間の行為が動物の行動一般に見られる刺激に対する反応とは違って、「よさ」という価値に関わっていることが分かってきます。この問いによって、ある目的を達成する手段としてよい行為がどの行為であるか、さらには、達成されるのがよいとされる目的がどの目的であるかを問うているのです。だから、大学進学を前に「どうしたらよいだろうか」と自問している人は、達成されるのがよいとされる人生の目的を求めて思い悩んでいるのかもしれません。こう生きるべきという人生の具体的な目標を実感しにくい時代だからこそ、私たちは、行動・行為・価値について根源から問い直す必要に迫られているとは言えないでしょうか。